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Richard Hamilton "TiT"
2002, screenprint, ed.50, 65.7 x 47 cm(Image)/89 x 67.2 cm(Paper)

この作品は、1956年にロンドンのホワイトチャペル・アート・ギャラリーで開催された革新的な展覧会「これが明日だ(This is Tomorrow)」に関連したもので、タイトルはこの展覧会名の頭文字からとっている。近年ハミルトンはAdobe社の描画ソフトIllustratorを使用して、Macintosh上で画面を構成する方法で版画を制作しており、"TiT"も同様の方法を用いて1956年当時に会場のインスタレーションを撮影した写真からトレースした形態を元にイメージを作り出している。左上の円形はマルセル・デュシャンの「ロトレリーフ」を拡大したものであり、左端に縦長に現れるモチーフは展覧会「これが明日だ」のカタログの表紙をもとにしている。また、中央下部にはジャクソン・ポロック風の絵具を滴らせたような絵画が見られる。本作品はこうしたモチーフと相まって、ポップ・アートという全世界的な潮流のきっかけとなった展覧会「これが明日だ」の功績を想起させると同時に、今後の現代美術の方向性についての問いを投げかける。