2005-11-15

英国作家の版画展

Prints of British Artists
Peter Blake, Tony Cragg, Antony Gormley, Richard Hamilton, David Hockney, Bridget Riley

2005年11月15日(火)-12日10日(土)
15 November – 10 Desember 2005

日曜 月曜 祝日 休廊
Closed on Sunday, Monday and National holiday

リチャード・ハミルトン Richard Hamilton
受胎告知 The Annunciation
2005 inkjet digital print ed. 60 44 x 44 cm (image) / 59.4 x 68 cm(paper)

西村画廊では11月15日(火)より12月10日(土)まで「英国作家の版画展」を開催致します。

20世紀の最も重要な潮流の一つであるポップ・アートが1950年代半ばにイギリスで誕生して以来、美術にとどまらず音楽・ファッションなど様々な方面で、イギリスは1960年代の「スウィンジング・ロンドン」と呼ばれる輝かしい時代を迎え、世界の文化の中心として確固たる地位を得ました。以後も世界をリードしながら発展を続けたイギリス美術界は、現在に至るまで多くの重要な作家を排出しています。リチャード・ハミルトンら6名の作家の版画約20点を展示し、ポップ・アート以降のイギリス美術の歩みを通観したいと思います。

宗教画の伝統的なテーマである「受胎告知」を現代的に表現したリチャード・ハミルトンの最新版画“The Annunciation” ピーター・ブレイクが手掛けたアルファベットの頭文字をテーマにした連作版画から、ブレイクが敬愛する人物のブロマイドや雑誌の切り抜きを並べた作品“I for Idols” デイヴィッド・ホックニーが二匹の愛犬であるダックスフンドをエッチングで表した“Dog Etching”、またはブリジット・ライリーのシルクスクリーン“Blue and Pink”などを展示します。

ピーター・ブレイク Peter BLAKE
I for Idols
1991 screenprint 103 x 77.5 cm ed. 95
デイヴィッド・ホックニー David Hockney
Dog Etching No. 10
1998 etching ed. 35 44.8 x 65.4 cm(image) / 66 x 86.4 cm(paper)
ブリジット・ライリー Bridget Riley
Blue and Pink
2001 screenprint ed. 90 45.1 x 134.3 cm

リチャード・ハミルトン Richard Hamilton
TiT
2002 screenprint ed. 50 65.7 x 47 cm(image)/89 x 67.2 cm(Paper)

この作品は、1956年にロンドンのホワイトチャペル・アート・ギャラリーで開催された革新的な展覧会「これが明日だ(This is Tomorrow)」に関連したもので、タイトルはこの展覧会名の頭文字からとっている。近年ハミルトンはAdobe社の描画ソフトIllustratorを使用して、Macintosh上で画面を構成する方法で版画を制作しており、”TiT”も同様の方法を用いて1956年当時に会場のインスタレーションを撮影した写真からトレースした形態を元にイメージを作り出している。左上の円形はマルセル・デュシャンの「ロトレリーフ」を拡大したものであり、左端に縦長に現れるモチーフは展覧会「これが明日だ」のカタログの表紙をもとにしている。また、中央下部にはジャクソン・ポロック風の絵具を滴らせたような絵画が見られる。本作品はこうしたモチーフと相まって、ポップ・アートという全世界的な潮流のきっかけとなった展覧会「これが明日だ」の功績を想起させると同時に、今後の現代美術の方向性についての問いを投げかける。